大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和26(オ)524 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人河辺久雄の上告理由(後記)第二について。

原判決は、訴外Dが上告人(控訴人)より本件農地の返還を執拗に請求され不本

意ながらこれを返還するに至つた事実を認定し本件小作契約の解除が正当であると

いうことができないと判示したこと所論のとおりであつて、これだけを見ると右判

示は論旨引用の当裁判所第三小法廷の判決と相反する判断をしたような観があるけ

れども、原判決は右のほかに上告人と小作人Dとの生活状況を比較して、上告人は

多年長野県吏員として勤務し退職後も直ちにE蠶糸業会の技師に就任しその後F養

蠶販売農業協同組合連合会の総務部次長の職につき、かたわら妻とともに本件農地

を含めて田畑五反五畝余の耕作しており、他に宅地建物山林等を所有するものであ

り、他方小作人たるDは田畑七反歩余を耕作する専業農家であつて、本件農地が買

収されてもこれによつて上告人の生活状態がDの生活状態に較べて著しくわるくな

るとは思われないと判示し、これらの事情と本件農地返還の要求に原判示のような

経緯のあつたことゝを綜合して本件小作契約の解除が正当であるということができ

ないと判断した趣旨であること明らかである。それ故原判決は、前記当裁判所の判

例と相反する判断をしたものとは認められない。なお、原判決は昭和二一年二月以

前においては農地の賃貸借の解約について都道府県知事の許可を要しなかつたと判

示しているのであるから、論旨引用の当裁判所第一小法廷の判決にも反するところ

はない。

同第三点について。

所論自作農創設特別措置法第六条の二第二項第三号の除外理由たる保有面積につ

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いては、上告人は原審において少しも主張していないのであるから、原審がこの点

に関して判断しなかつたのは当然であつて、原判決には所論のような違法はなく、

また判例違反も存しない。

その他の上告理由は、最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法

律所定の各号に該当せずまた法令の解釈に関する重要な主張を含むものとは認めら

れない。

よつて、民訴四〇一条九五条八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり

判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 小 林 俊 三

裁判官 本 村 善 太 郎

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